怠け者でも行動がしたい。「イデオモーター効果」にたどり着くまでとそれから。

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「それらしい行動」が考えに影響を与える

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「オーディオ」-それらしい行動が考えに影響を与える

 

「イデオモーター効果」とは、プライム(言葉などの先行刺激)によって関連するものを認識しやすくなるだけではなく、行動までも変わってしまうという効果です。

この効果は逆向きにも働き、「それらしい行動」をすることでも関連する言葉を認識しやすくなり、観念」(ここでは言葉に対する主観的な考えと定義させていただきます)が活性化されます。

しかし、この説明だけですと中々イメージが湧かないと思います。
そこで、私達の日常生活を振り返ってみましょう。もしかしたら、心当たりがあるかもしれません。

・体を動かしたくないなあーって思っていたけど、無理やり外で散歩をしていたらスッキリして長い時間歩いていた。
・なんとなく憂鬱な気分だけど、音楽を聴きながら無理やり笑顔を作り踊っていたら楽しくなって、その後も長い時間ポジティブでいられた。
・「部屋の掃除面倒だけどやらなきゃなあ」→「・・ハッ!?1日が終わっている!?」
・10分だけでも勉強しようとしたら、気づいたら1時間経っていた。

このような気分が後からついてくるような感覚には「イデオモーター効果」の働きが関係しています。
「あの時、感じたことってこういうことだったんですかね?」
「いわゆる「ノッてくる」「その気」の仕組みとはなんなのでしょうか?」
「行動にはやる気・モチベーションが必要だと思っていたけど、必ずしもそうではないのかも・・。」

「イデオモーター効果」のより細かな説明と、私たちの行動への理解とそれに役立てたいと思っている方はご覧になってみてください。

「連想」から現実の「体験」へ

「オーディオ」-「連想」から現実の「体験」へ

「温泉」「深呼吸」


こういった言葉に接すると、私達の頭の中では勝手に連想が始まります。
お風呂が好きな方は、筋肉はどちらかといえば緊張よりかはリラックスしたような、少し呼吸が楽になったような気分になりませんか?
(これに自然、鳥の鳴き声、お湯の音、硫黄の匂いなどの言葉を付け加えるとより楽しめるかもしれませんね)

この「温泉」「深呼吸」という言葉に接した時、どのようなことが起きているのでしょうか?

1、温泉・深呼吸という言葉を見たり、聞いたりする。
2、私達の温泉・深呼吸に関する記憶が呼び起こされる。
3、その記憶に抱いた感情が湧き上がる。
4、ほんの僅かかもしれないけれど、呼吸が楽になり、力が抜ける。

この言葉→記憶→感情→身体的反応の流れは「連想活性化」と呼ばれます。

「深呼吸」は、例えばスピーチ前や試験当日のような緊張を和らげるためにするものと、リラックスできるような場面で勝手にしてしまうものと2種類くらいあると思います。
しかし、「温泉」という言葉とセットにしたことによって「後者」の方だと、努力をするまでもなく区別することができます。
この2つの言葉に対する瞬時の因果関係の形成は、「連想活性化」といわれるプロセスの中で行われます。

感情によって身体的反応に表れれば、
「温泉」「深呼吸」に対する感情が強まり、
「温泉」「深呼吸」に対する記憶が蓄積されて、
「温泉」「深呼吸」という言葉に対する考えが強化されていく。

この連想のパターン「連想一貫性」と呼ばれます。

「連想活性化」によって言葉→記憶→感情→身体的反応に繋がり、逆向きに戻りながら効果が強められて、パターンが一貫するように形成されれば「連想一貫性」になるということですね。

一つの言葉。多くの観念。

「オーディオ」-一つの言葉。多くの観念。
「プライミング効果」。それは答えに対する「ヒント」なのか?それとも誘導なのか?

言葉だけでも体にまで影響を及ぼすことは分かりましたが、それは私たちがその言葉を頭の中でどう捉えているのかが関係しています。

例えば「ペン」を見たとき、「ペン」という言葉を見たとき、頭の中ではこの二文字だけではなく、他にも関連するような「書く」「紙」「黒」「赤」「インク」「油性」「水性」「ゲル」などの言葉が存在したりします。
普段からペン回しをしている人は、「回す」という主観的な言葉も頭の中にはあるかもしれません。さらには、意識的に捉えられない言葉も存在しています。

心理学者はこれらを含め「観念」と呼び、ネットワークに浮かぶノード(節点)と捉えています。
そしてこの広いネットワークが「連想記憶」と呼ばれるものです。

連想記憶にある観念は別の観念とリンクしており、一つの観念が活性化されれば別の多くの観念を活性化し、また別の観念を・・というふうに連鎖していくといいます。
まるで、宇宙の星と星が線で星座を形作っていくようなイメージが浮かんでくるようです。

「プライミング効果」。それは答えに対する「ヒント」なのか?それとも「誘導」なのか?

観念の活性化が連鎖していくということは、言葉の連鎖ともいえるかもしれません。
ここで、私たちが事前にある言葉に接して穴埋め問題に取り組んだとします。そうすると、事前に接した言葉に関連した単語を答える確率が高まるといいます。


「□イス」の「□」に入る言葉は?と問題を出されたとします。
そのときに、
・「冷たい」という言葉を見せたら「アイス」
・「振る」という言葉を見せたら「ダイス」
・「炊く」という言葉を見せたら「ライス」
・「国」という言葉を見せたら「スイス」
・「話す」という言葉を見せたら「ボイス」
と、関連する答えが出やすくなります。

このような先行刺激(プライム)が後の処理に影響を与えるという効果を「プライミング効果」といいます。
ある単語に接すると、それに関連した単語を思い出しやすくなり、認識しやすくなります。

「話す」という言葉に接すると、
頭の中の「話す」という観念が活性化し、
それに関連した「ボイス」という観念も活性化し、
結果として「ボイス」と答える確率が高まったわけですね。
(もちろん、そもそもボイスという単語自体を知らない場合や、最初からボイスという解答はしないと準備していたらその限りではないです)

さらに、「ボイス」という観念が活性化されれば、連想記憶の中にある別の観念も活性化されます。似たような単語、マイクなどの関連するもの、身近な人の声や好きな有名人の声などにも効果は弱まるけれど反応しやすくなります。

観念が活性化した結果、行動をする。「イデオモーター効果」と「フロリダ効果」

「オーディオ」-観念が活性化した結果、行動をする。「イデオモーター効果」と「フロリダ効果」

言葉に接することで関連する言葉が想起しやすくなり、認識しやすくなる。といったことは、私にとっても「まあそうだろうなあ。」と納得できる話でした。
しかし、ある実験によって言葉は無意識に私達の行動にまで影響を与えてしまうような力を持っていることが分かりました。

「イデオモーター効果」、「フロリダ効果」とは?


「イデオモーター効果」とは、プライムによって関連するものが認識しやすくなるだけではなく、行動までも変わってしまうという効果です。

この実験から得た効果は「フロリダ効果」として知られました。

実験では2つのグループに分けて、指定された単語を使い文章作成をしてもらいました(しかし、これは表向きの実験です)
1つのグループには高齢者を連想させるような単語が用意されました(フロリダ・忘れっぽい・ごま塩・シワなど)。

その後、実験を終えたグループの移動時間を気づかれないように計測したのですが、この計測こそが本来の実験だったのです。

すると、高齢者関連の単語を扱ったグループの移動時間が明らかに遅くなっていたという結果になったのです(それも自覚もないままに)。


これには2段階のプライミングが働いているといいます。

  1. 高齢という単語が出ていなくても作成用の単語だけで「老人」のプライムになり、
  2. 「老人」という観念が「老人らしい行動(遅歩きなど)」のプライムになりました。

この2段階のプライミング現象を「イデオモーター効果」といいます。

言葉から連想が始まり、実際の行動としてここまでの身体的反応に出ることにも驚きですが、さらにこの効果は逆向きにも働きます。
その実験では、先程の実験を反転させたようなもので、遅く歩かせた被験者は「高齢」に関連する単語を認識しやすくなっていたのです。

このような双方向性を調べる他の実験では

・鉛筆を横向きに咥えながら漫画を読むと満足度が上がる。
・眉を寄せながら事故などの衝撃的な写真を見ると、強い感情反応を見せる。
・論説番組を聞きながら音質チェックをしてもらう。チェックをするサインとして頷く動作をさせると、論説に賛成しやすくなる。

といったものがありました。

こういった暗示のようなことは、少し受け入れることに抵抗があるかもしれませんが、これは「身体的反応」から「観念」が活性化された結果であり、人間の心理の仕組みの中の一つだともいえます。

しかし、もちろんというべきなのでしょうか。この効果が万人に当てはまるわけではなく、フロリダ効果の実験では元から老人が嫌いという人にはこの効果は働かないそうです。その場合、動作は逆に速くなるとのこと。

これは「このようにはなりたくない」というような、いわゆる「反面教師」のようなものに近いのかもしれませんね。

「プライム」が先か、「行動」が先か。

「オーディオ」-「プライム」が先か、「行動」が先か。

ここまで「連想」、「観念」、「プライミング効果」、「イデオモーター効果」などについてお話しました。
では、これらの話を私たちの行動などに活かすことはできるのでしょうか?

私達が行動をするときを考えてみましょう。

・言葉などのプライムによって、観念が活性化された結果として行動したのか?
それとも、
・行動がプライムになって、観念が活性化されてまた行動をするようになるのか?
もしくはそもそも違う原因かもしれません。

が、行動を先行させることが繰り返しできるようになれば、その繰り返しの中で観念も活性化していく可能性もありますし、行動に慣れれば言葉などのプライムによって、意識的に高めながら取り組むことも可能になっていきます。

「でも、その行動にさえ取り組むことができないから悩んでいる」
というのが私でした。

そんな私が観念を活性化するためにどのようなことを試しているのかを紹介したいと思います。
必ずしも紹介するテクニックが皆さんに当てはまるわけではないと思いますので、自分なりにアレンジすることも必要です。
まずはどんなテクニック、手段であろうと「その行動」が実行できたか。繰り返すことができたか。継続できるかが重要だからです。

「イフゼンルール・プランニング」で行動から観念を活性化させてみる

「オーディオ」-「イフゼンルール・プランニング」で行動から観念を活性化させてみる

これはあらかじめ何を実行するのかを具体的に決めておくもので、習慣化のテクニックの中でも効果が高いと認められているものであり、ご存知の方も多いのではないでしょうか?
方法としては、

「もしXならYをする」

といった文法に状況や行動を当てはめます。
スマホのメモ帳や紙のノート、行動さえできるなら頭の中だけでもいいのかもしれません。
単発で試すのはもちろん、これを組み合わせながらいわゆる「ルーティン」の形成にも役立てると思います。


散歩の場合「もし(x)朝目が覚めたら(y)カーテンと窓を開け、帽子を被り家の周りを散歩しながら目を覚まさせる」

筋トレの場合「もし(x)散歩から帰ったら(y)コーヒーを飲み、動的ストレッチで準備運動をして、腹筋、胸筋、下半身の自重トレーニングをする」

ブログの場合「もし(x)筋トレが終わったら(y)1時間ブログ関連の作業をする」

読書の場合「もし(x)ブログ関連の作業が終わったら(y)1時間事前に決めておいた本を読む」

例では少し簡単な文章の設定だと思いますが、効果を高めたい場合はより詳細に、具体的に設定するといいかもしれません。


散歩の場合「もし(x)まだ皆が寝ている時間であろう朝5時くらいに目が覚めたら(y)カーテンと窓を開け、朝日を見て自分の体と細胞に1日が始まったと伝達させ、ベッドの横にある帽子を右手で手に取り、被り、部屋のドアを開け今日の外の空気はどうだろう?遠くの山は見えるかな?変わった鳥はいるだろうか?と漠然と思いながら玄関から外に出て、左回りに胸を張りながら道を歩いていく。」

と、ここまでする必要はないかもしれませんが、ポイントは「何をすればいいのか分からない」といったことを減らし、何よりも「それらしい動きをする」ことが重要だと思います。

「筋トレ・運動をする」と設定するなら、「えーっと次は・・」というのを無くすためにメニューを「腹筋20回、ニートゥチェスト20回、バイシクルクランチ20回、プランク30秒、ダイヤモンドプッシュアップ20回、ワイドプッシュアップ20回、これらを2セット」のように事前に決めておくのをオススメします。

さて、このイフゼンルール・プランニングによって取り組むことができたとすれば、それは「それらしい動き」というものを実行したことになります。

「それらしい動き」がプライムになり観念を活性化し、繰り返していくことで習慣になる。
科学的根拠はありませんが、「イデオモーター効果の逆向き」と「イフゼンルール・プランニング」にはそういった繋がりがあるのでは?と感じました。

行動に取り組みたいときには、観念を活性化させる必要があると思うのですが、「イフゼンルール・プランニング」によって自らにそれらしい行動を具体的に指示することで、余計なことを考える「余地」を与えず、観念を活性化させていく狙いもあるように思います。

「3」から始める「ヘミングウェイ方式」

「オーディオ」-「3」から始める「ヘミングウェイ方式」

ヘミングウェイ方式は目標を「量・時間」と2つに設定するテクニックとして知られています。
どちらかを達成することで自分を責めるというのを低減する効果があります。
失敗に対する考え方は当サイトでも紹介している「バックアッププラン(プランB)」(内部リンクに移動します)に近いかもしれませんね。

継続することが苦手な方は、自分でも笑っちゃうくらいの「少ない量と少ない時間」を目標に設定するのをオススメします。
それは、「量か時間」をクリアして、その先の「継続」というものをクリアし続けることが大切だと思うからです。

私はというと根っからの怠けものなので、運動でヘミングウェイ方式を最初取り入れたときは

「スクワット3回するか、1分間の直立不動を実行する」

という設定から試していきました。

調子が良いときなら、スクワット50、100回はできるかもしれない。けれど、人間には日々の気分や疲労度の浮き沈みがあります。

「最大回数」より「最小回数」を基準にすれば、最小を積み重ねることで日々「底上げ」していくことも可能になります。

そして気づいたのが、実際に実行するとスクワットが

「3回で終わることはほぼない」

です。

3回目を終わる頃には、「イデオモーター効果」が発動され観念が活性化されるのか、キリのいい10、20、30回まではやろうという心理になったりします。

もちろん3回でも毎日のように達成していければ、それは立派な運動習慣だと思います。

この時点で「量」の目標はクリアしたことになりますが、もう一つのポイントは日常的に、

「1分間の直立不動もほぼ実行することがない!」

です。

皆さんは部屋の中では普段いかがお過ごしですか?

私の場合、椅子に座ったり、ベッドに横になったり、立つといえばスマホなどを触ったり、身支度の時にするといった具合です。

「1分間の直立不動」は客観的にシュールな絵になり兼ねないので、それはそれで可笑しくて良いと思っているのですが、
「真顔で直立不動するくらいなら、3回くらいスクワットした方がいい」
という気持ちになります。

もし、それでもスクワットができない場合でも、この直立不動は捉え方次第で意味のあることに変えれます。

それは昨今、様々な研究でもストレス解消やリラックス効果、集中力向上の効果があるといわれる、「ボディスキャン瞑想」としても置き換えることが可能になります。

「ボディスキャン」は基本的には横になったり、椅子に座りながらするのですが、私は立った状態でも効果を実感することができました。

ここでは簡単な説明になりますが、私のボディスキャンのやり方は、

1、背筋を伸ばし、胸を張り、目を閉じ、深呼吸を数回する。

2、各身体の部位に意識を向け、それぞれ力を抜くようにしていきます。
(例:頭→目→こめかみ→口→舌→首→肩→右手→左手→両手→胸→腹→背中→臀部→右足→左足→両足)
この順番は逆でもいいと思いますし、手足から入る方もいます(意識を向けやすいため)。
さらに部位を細かく分けたり調整したりします。

3、力を抜く際に頭の中で「頭の力が抜ける」「頭の重さを感じる」などと思い浮かべます。(普段考えたりしている時の声を発しない言語をインナースピーチといいます)

4、インナースピーチを発しながら、各部位に意識を集中しているときでも別のイメージに注意力が引っ張られることがあります。
例えば今日起きた出来事や、過去の思い出や嫌なこと、食事のメニューや仕事のことです。
それらの音や映像や匂いや感触が思い浮かんだときに、自分の意識を身体に戻します。
実際に頭の中で「意識が逸れてた。戻ろう。」と発してもいいかもしれません。

5、最後は数回深呼吸をします。この時も意識は呼吸に向けます。
お腹を膨らませながら息を吸うとパンパンになります。
しかし、そこで胸を膨らませながら息をさらに吸います。2段階に分けて吸うイメージです。
すると、もうこれ以上ないくらいパンパンになります。
次に息を数秒止めます。(無理のない範囲で)
そして、呼吸筋の力を抜くイメージや、足の裏に意識を向けながら息を吐きます。

6、ゆっくりと目を開けて、各部位をゆっくり動かしたり少しずつ力を入れたりします。

以上が私の場合でのボディスキャンでした。

「スクワット3回or1分間の直立不動」とあまりに簡単な設定にしたのは観念が活性化していない状態、やる気とよばれるものがない状態、無意識でも「それらしい行動」への導入のためです。

説明したのはあくまでも私が試していることの1例ですが、このヘミングウェイ方式はイフゼンルール・プランニングと組み合わせるのがオススメです。

自分という「もうひとり」を責めずに、一緒に考える。

「オーディオ」-自分という「もうひとり」を責めずに、一緒に考える。

これまでプライミング効果と行動を照らし合わせながら説明させていただきました。

もしかしたら活性化された観念こそが、やる気の正体というものに近いのではないかというのが現在の私個人の考えです。もちろん一般的な定義やモチベーション、動機付け、その他科学的見解は別にあり、この先この考えが変化していくかもしれません。しかし、抽象的とも捉えられる「やる気」というものを仮の前提でも、考えて試していくのは楽しいことだと思います。

そういった観念をベースにした場合、
観念が先か、行動が先か、観念を活性化させるためには結局行動をしなくてはいけない。

けれど、そんな気分になれなくて自分という「もう一人」を責めたり、周りからも責められた経験をされた方はいると思います。

しかし、行動への入口は一つではありません。
やる気がある場合の入口が塞がっているなら、やる気がない場合の入口を作るというのも一つの手段です。
そして、実行できなかったら自分を責めるのではなく対策をするという視点にシフトしましょう。

自分を責めてそれが「プライム」になることで、どんな観念が活性化されるのか?
私たちは、自分や他者への「攻撃」という観念や行動を活性化したいわけではないはずです。
対策の参考例として、朝に決めていた習慣ができなかった場合は、まずは「何が問題だったかな?」などと問いかけ、前日の夜のことを振り返ります。
すると、

1、動画を見始めたら止まらなくなった。

2、横になったのはいいけど、仕事の考えごとや過去の嫌なことが思い浮かんで寝付けなかった。
などの問題が洗い出されていきます。
そして、

「なるほど。じゃあこれらの問題をクリアするには?」と踏み込みます。

1の場合の対策は
a:主な2つの人間の性質を知ってドラマ・アニメ・続きが気になるような動画・本を見ないように工夫する。

一つ目が「ツァイガルニク効果」というものがあります。これは、人間は未完了なものが気になってしまう性質があります。ストーリーがいいところで終わってしまうと、もう1話だけ・・となってしまいますよね。

2つ目が「ユニットバイアス」といわれるものです。人間は完了することを好む傾向があります。「あればあるだけ食べる・つかう」というようなバイアスです。器に入った食べ物を残さず食べる、仕事を残して帰りたくない、残業可能な時間いっぱい使ってしまう、ゲームのクエストを全部達成したくなる、1クール・2クールのドラマやアニメをまとめて見たくなる。

こういった効果を知ることで、自分が特別誘惑に弱いわけではなく、人間の性質として備わっているものなんだ。と冷静に考えられるような二次的な効果もあるように思えます。

b:慣れ親しんだ動画や本でも夜更かししてしまった時は早くに横になりオーディオブックやラジオや自然音などの聴覚情報のみにする。

2の場合の対策は、ボディスキャンをしてみる。横になりボディスキャンを行うことで、寝ている人らしい状態になるので睡眠に関連する観念を活性化させることが狙いです。

・しかし、逆にスッキリしてしまって目が冴えてしまうことも考えられます。そんな時は、翌日の習慣をフライングして実行する。

このように失敗しながらも、自分を責める前にまずは「ではどうすれば出来るかな?」と考えることが大切だと思います。

まとめ

「オーディオ」-まとめ、最後に

ここまでのまとめです。

・言葉だけでも「連想」が勝手に始まり、僅かなレベルですが身体にも影響を及ぼしています。
・「連想活性化」は言葉→記憶→感情→身体的反応の流れで行われます。このプロセスの中で因果関係の形成もされます。
・「連想一貫性」は身体的反応に表れると、逆向きに戻りながらそれぞれの効果が強められ、統一されたパターンを生み出します。
・「観念」は言葉などに抱く主観的な考えであり、意識的には捉えられないものも存在しています。また、心理学者は観念を人間の中にあるネットワーク(連想記憶)に浮かぶノード(節点)と捉えています。
・「観念」は別の観念とリンクしており、一つが活性化されると別の多くの観念も活性化するといったように連鎖していきます。
・「プライミング効果」は先行刺激(プライム)が、その後の処理に影響を与えるという効果です。
穴埋め問題では事前にある単語に接すると、その単語に関連した解答をする確率が高まったりします。
・「フロリダ効果」とは実験で得た効果の名称であり、高齢者を間接的に連想するような文章作成問題に取り組んでもらった後、実際に高齢者のように移動速度が遅くなってしまうといったものです。
・「フロリダ効果」には2段階のプライミング現象が働いています。
1、高齢という単語が出ていなくても作成用の単語だけで「老人」のプライムになり、
2、「老人」という観念が「老人らしい行動(遅歩きなど)」のプライムになりました。
・「イデオモーター効果」はこの2段階のプライミング現象に名称をつけたものです。
・「イデオモーター効果」は逆向きにも働き、それらしい行動をすることでも観念は活性化し、それに関連した言葉などを認識しやすくなります。
・「逆向きのイデオモーター効果」は私たちの行動にも取り入れることができます。
・「それらしい行動」をするためには「イフゼンルール・プランニング」が有効です。
・「イフゼンルール・プランニング」は「もしXをしたらYをする」といった文法を事前に用意して実行します。この時、より具体的に、明確に設定すると有効です。
・「ヘミングウェイ方式」は目標を「量・時間」と2つに設定する方法です。その行動を継続させたい場合は、これくらいならできそうという最小値を基準にして、調子の上がらない日でも実行できるようにしましょう。
もちろん健康優先で、無理のない範囲で休養はしっかりしましょう。
・「直立不動」もボディスキャンに置き換えてストレス解消や集中力を高めるのに活用することもできます。
・「イフゼンルール・プランニング」と「ヘミングウェイ方式」を組み合わせながら試してみましょう。
・自分を責めずに対策を考えましょう。実行できなかったときも、過去の行動を遡り日々対策を練り直していきましょう。

最後に

今回は、「ファスト&スロー」の連想からイデオモーター効果までの、学んだことを日常生活に役立てることはできるのかな?という視点から考えさせていただきました。
この他にも実際の知識などを実践し、皆さんに情報を発信していけたらと思います。
ご覧いただきありがとうございました。

参考文献
ダニエル・カーネマン(2012)『ファスト&スロー(上)』(村井章子訳),早川書房